MASK

「こうしなさい」「こうなりなさい」と押し付けるのではなく、自らが進んでいく方向を見守り、適度にサポートする。
※子育ての話ではなく、鉄の話なのであしからず。
新作”MASK”。今回も古道具を熱して叩いて。長くこの手法で制作を続けてきたので、どのみちコッチの思い通りの形にはならないというのはよくわかっている。なので金槌を振る時は、鉄に対して「こうなりなさい」ではなく、「どうなっていくのか」に目を凝らす。するとたまに、何か顔のようなイメージが芽生える時がある。そのタイミングで、スッとイメージを助ける要素を込める。ただし手を加えすぎると、鉄自身がなりたがっていた形を台無しにしてしまうので要注意。
ちょっとデリケートな場面を経て、仮面のようなフォルムへ。熱した痕跡、叩いた痕跡、削った痕跡、溶接の痕跡。いろいろな痕跡が、その表情を豊かにしてくれる。暖かくも冷たくもなれる振り幅の広さは、鉄素材の魅力的なところだ。


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