ウミガメの部屋

東京ベイ潮見プリンスホテル/東京都江東区

1000℃の高熱を受け止め、延々と金槌で叩かれた鉄たちは、次第に体温や脈拍を内包していく。その有機的な姿は、あたかも生命を宿したかのようだ。
たくさんの「有機的」を集め、ひとつひとつ繋ぎ合わせ、海の生き物を創造する。石が敷き詰められた本作品の設置場所を海底に見立て、回遊する海亀をモチーフとした。南国のイメージのある生き物だが、実は東京都内でも海亀の化石が多く出土している。その事実は、かつてこの近海で、たくさんの海亀たちが存在していた事を裏付ける。
現代の道具を熱して叩く行為は、鉄素材をプリミティブな姿に戻すことを意味する。その先に映し出されるのは、東京湾の太古の記憶だ。